年末調整とは?
年末調整は、サラリーマンやアルバイトの方々が1年間に得た収入に基づいて、納めるべき税金を正しく計算するための手続きです。具体的には、年末調整を通して実際に支払った税金の「過不足」を見直し、過剰に支払った場合にはその税金が戻ってくる(還付される)ことです。
年末調整の目的
年末調整の主な目的は以下の通りです。
- 税金の過不足を調整する
一年間の収入に対して、事前に源泉徴収された税金(給料から差し引かれている税金)が実際に納めるべき税金と異なる場合、その差額を調整します。- 例:あなたが1年間に300万円の給料を受け取ったとします。この場合に納めるべき税金は約30万円(実際の税率に基づく)が、源泉徴収で40万円引かれていた場合、年末調整により10万円が還付されます。
- 還付金の受領
年末調整を通じて、実際には納める必要のなかった税金を返してもらえることがあります。これは、税金を過剰に支払った場合に関してです。 - 控除の適用
年末調整を通じて、さまざまな控除を利用できるため実際に支払う税金を減らすことができます。控除とは、収入から引かれる金額のことです。
年末調整の流れ
年末調整の手続きは、通常以下のステップで行われます。
- 必要書類の準備
- 源泉徴収票
勤務先から送付される書類で、1年の間に受け取った給与の総額や、源泉徴収された税金の額が記載されています。年末調整を受けるためにはこの書類が必要です。 - 各種控除証明書
本人が受け取る保険の金額や医療費、教育費などを証明する文書です。具体的な例としては、生命保険の控除証明書、医療費の領収書などです。これらの書類を用意することで、控除を受けられます。
- 源泉徴収票
- 申告書の記入
- 年末調整申告書
これは会社から配布される書類で、控除を受けるための情報を記入します。あなたの家族構成(配偶者や子供がいるか)や、保険に加入しているかなどを具体的に書く必要があります。これにより、あなたの具体的な生活状況に応じた税額が計算されます。
- 年末調整申告書
- 書類の提出
- 準備が整ったら、申告書と必要書類を勤務先の総務課などに提出します。提出期限があるので、注意しておきましょう。通常、年末調整の手続きは12月に行われることが多いです。
- 調整結果の確認
- 勤務先があなたの書類をもとに年末調整を行い、最終的な税額を計算します。その結果は「年末調整の結果通知」として源泉徴収票に記載されます。これを確認することで、納めるべき税金が正しく計算され、過不足がないか確認できます。
年末調整での控除の種類
年末調整では、さまざまな控除を受けることができます。以下に代表的な控除の例を挙げます。
所得税額を計算するにあたり、「控除」と付く言葉が3回出てきます。
(1)給与所得控除
(2)所得控除
(3)税額控除
の3つの控除があります。「控除」とは「差し引く」という意味です。
後ほど丁寧にひとつずつ解説しますので、今は全体像を把握してください。これらの控除があると、課税の対象となる金額から一定額を差し引くことができるため、税金が少なくなるという仕組みです。
上図を計算式にすると以下の通りです。
所得税額の計算式
収入-必要経費(給与所得控除)=所得金額(給与所得)
所得金額-所得控除の合計額=課税総所得
課税総所得×税率(5%〜45%)-各税率の控除額=所得税額
所得税額-税額控除=納める所得税額
(1)「給与所得控除」とは、会社員・公務員に一律で認められている「みなし経費」のようなもので、収入の金額によって決められています。個人事業主の方が収入から必要経費を差し引くのと同様、会社員・公務員の方も給与収入から給与所得控除を差し引くことができるものです。
(2)「所得控除」とは、本人や家族の状況、災害や病気といった個人の事情によって、税の負担を軽くする制度です。所得控除は全部で14種類あります
所得のある全ての人が受けられる控除
- 基礎控除
家族を養っている人などを配慮した所得控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
個人の事情を考慮して税負担を軽くする所得控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- 寡夫控除
- 勤労学生控除
社会保障や寄附に関連した所得控除
- 社会保険料控除…社会保険料を所得金額から差し引ける控除制度
- 小規模企業共済等掛金控除…小規模事業の経営者のための退職金制度です。個人事業主や企業経営者には、会社等に勤めている方と違って退職金がありません。そこで、個人事業主や小規模企業の経営者や役員が廃業や退職時の生活資金などを作れるようにと、小規模企業共済という制度が作られました。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
- 生命保険料控除…保険契約者が1年間に支払った保険料のうちの一定額を、その年の所得から差引く制度
- 地震保険料控除…地震保険などの保険料を支払った場合に受けられる所得控除制度です。所得税や住民税の税額を軽減でき、税制優遇制度に該当します。
- 寄附金控除…ふるさと納税など国や地方公共団体などに寄附を行った場合に受けられる制度でいろいろなサイトがあります 例えばこちら→「さとふる」でふるさと納税!
病気になったり被災したりした人などの税負担を軽くする所得控除
- 医療費控除(医療費控除の特例:セルフメディケーション税制※)
- 雑損控除
- ※「セルフメディケーション税制」は2017年から始まった、特定の医薬品等を購入した場合に受けられる所得控除です。
(3)「税額控除」とは、控除額をそのまま所得税から直接差し引くことができる控除です。例えば、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)がこれにあたります。
まとめ
年末調整は、あなたが一年間に支払った税金の正しい金額を確認し、必要な控除を受けるための重要な手続きです。年末調整を活用することで、過剰に支払った税金を還付されたり、税金を減額したりすることが期待できます。
この手続きを理解することで、税の負担を軽くし、還付金を受け取る機会を逃さないようにしましょう。円滑に運ぶためにも、必要な書類をしっかりと準備し、申告書は正確に記入することが大切です。
もし、まだ不明な点や具体的な書類の書き方についての質問があれば、遠慮なく聞いてください。年末調整についての理解が深まることを願っています!
コメント